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zoom RSS The Beach Boys『Pet Sounds』(1966年)

<<   作成日時 : 2011/03/07 14:24   >>

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当初は漫画の考察とかやろうかなと思っていたこのブログも結局CDレビューをすることになったわけですが。

そして、大して音楽を聴いていない人間なので本当に傲慢なのだが、評点つけているわけだけれども、じゃあ10点満点というのはどういう音楽に対して出せばいいのか。

ロックツリーという言葉もある通り、ロック・ミュージックは家系図のように血が繋がっている、いわば歴史や物語としてレジュメすることができるもので、そういう話が僕は大好きであったりする。じゃあ、その影響力を考慮して名盤中の名盤に満点付ければいいのか?それもちょっと違う気がするし、ではそんなの関係なく、個人的にただツボの音楽に満点付ければいのか?それでも別にいいのだけれど…。

まあ両者のバランスをとっていくことができればいいと思っているのだが。名盤の中でも自分にツボなもの、自分の音楽嗜好として外せないものを高く評価すればいいのだろうが、なかなか難しいですなあ、という話。ツイッターで絡んだりする方々のレビューブログなんかもかなり参考にしているのだけれども、みんなよくやってるなあ。尊敬しますわ…。


ま、それでですね、その「名盤中の名盤」から真っ先に「あれは良いよなあ」と思いつくのが、この『ペット・サウンズ』だったりする。


サーフロックと美しいハーモニーの融合を武器としていたビーチボーイズだが、本作は打って変わってサーフロック的なサウンドは無く、幾重にも重ねられた幻想的でみずみずしいサウンドに、極上のメロディを発揮した。


これはブライアン・ウィルソンがフィル・スペクターのもとで働いていたスタジオミュージシャン達と作り上げたものであり、他のメンバーはコーラスしか参加していない、実質ブライアン・ウィルソンのソロであるから、このような従来のサウンドから逸脱しているのも理解できる。



一応有名な話をば。ブライアン・ウィルソンはビートルズの脱アイドル作『ラバー・ソウル』に衝撃を受け、その対抗心からこれを作り上げた。サーフィンと青春をテーマにし、しかもそれをファンから求められていたブライアン・ウィルソンが、アイドルから脱して実験的で多様な方向性のアルバムを作ったビートルズに憧れ、触発されたのもうなずけるだろう。

そして、この『ペット・サウンズ』に触発されたビートルズは、スーパーサイケデリックコンセプトアルバムつまりロック史最重要作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を作る。


革新的アイデアで時代を常にリードした4人の天才、ビートルズ。彼らにブライアンはひとりで立ち向かったわけだが、『サージェント・ペパーズ…』への回答作つまりペットサウンズの次作『スマイル』は発売されなかった。ブライアンは精神をすり減らし、ドラッグに溺れることで壊れてしまうからだ。残りのメンバーはブライアンが残した断片をかき集めて『スマイリー・スマイル』を作る。しかしブライアンのアルバムというよりそれは従来のビーチボーイズの方向へ揺り戻したものだったようだ。ちなみに『スマイル』は、2004年にようやくリリースされることとなる。


これが当時としては「実験作」だったわけだけど、今だったら「これのどこが凄いの?普通のポップスにしか聴こえないんだけど」っていう人間もいるわけで。たしかに聴きやすいポップなアルバムではあるし、ソフトロックを極めに極めた一枚なわけだけど、洋楽を聴き始めた数年前の僕ですら「これ良い!」となったわけだからポップスとして普遍的で取っつきやすいことはわかる。しかし、これ66年ですぜ?この作り込まれた音は当時のどのレコードよりもモダンにも聴こえるし、フィルスペクターのウォール・サウンドを模倣しながらも更に美しい音像とメロディは、もうどう考えても「普通のポップス」とは口が裂けても言えないでしょ。
このアルバムは、当時のロックンロールともブルースともフォークロックともカントリーとも全く異質の場所にあり、サイケデリックとも言い難い特異なアルバムであるわけだし。


幻想的な箱庭を作り込んでしまうという点において、これはコーネリアスやトクマルシューゴのような音楽の雛形とも言えるかもしれないし、山下達郎からアニマルコレクティブなどのUSインディまで今現在に幅を利かせている音楽にとんでもない影響を与えていることを考慮しても、単純にため息が出るような歓喜溢れる瑞々しいサウンドを考えても、心置きなく満点を差し上げたいアルバムでしょう!ビートルズのどのオリジナルアルバムよりも美しいよ。あの4人にはこれは作れなかったでしょうし。


同じことをずっと続けることもロックバンドらしさだと思うが、変化を恐れず戦う事もロックだと最近僕はよく思う。その点においても、4人の天才にたった1人で、精神を壊しながらも立ち向かったこの時のブライアン・ウィルソンはロックなのかもしれない。その果敢な彼の挑戦に、現代のキッズたる僕らから、満点をあげようぜ。



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プラダ トート
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