空白依存症

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zoom RSS Thom Yorke 『The Eraser』(2006年)

<<   作成日時 : 2011/10/07 22:10   >>

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たまには2010年リリースじゃないものも書いてみようかしら。何時にもまして散逸な内容になります。散文的な。



レディオヘッドの今年のアルバムは「買いますわ〜」などとほざいていながら結局見送りとなった。単に金銭面の問題である。前評判によるとKid A 〜アムニージアックの頃や、このソロ作のような感触のエレクトロニカ寄りなアルバムらしいし、トムヨークの現在の趣味であるダブ・ステップの影響もあるのだという。

ダブ・ステップについては、これでも代表的なところをyoutubeで挑戦してみたけどいまいちピンと来ていない。つーかとっくに「ポスト」ダブステな時代らしく完全に時代から取り残されている俺であるが、正直こんな暗い音楽がイギリスのクラブでかかっているっていう状況が想像できない。そして、これならトリップホップでよくね?マッシブとポーティスヘッドでいいじゃん。と思ってしまう俺であったのだった。2ステップっていうのはリズムによるジャンル区分であるわけで、暗いとも限らないし前述のとおり今はポスト時代として様々な志向の音楽がダブ・ステップを根として様々な方面に広がっていっているらしいが。ま、ダブステもブリストルで盛り上がっているし音楽的な影響や共通点もあるようだし、そう考えればトム・ヨークがダブステを追っていることは良く分かる気がする。何しろOKコンピューターの時はトリップホップからも影響を受けていた彼だ。



今日たまたまこの『The Eraser』を手に取って聴いていた。リリースされた時は正直よくわからなかった、というかKid Aやアニムージアックをさほど好きではない俺は、ソロ作もそんな感じだなあ、という程度でおさえていたし、繰り返し聴こうとする気も起きなかった。とにかく暗いと思った。暗い音楽は嫌いでは無いと自分では思っていたが、電子音楽嫌いと言うのもあったのだろうか。

しかし今聴くと、意外と開けた印象を持った。あくまで「意外と」だが。M-5「Skip Divided」とか内に内に嘆きを溜めていくような感覚に陥る暗さはあるし、そもそもM-1「The Eraser」のピアノが弾かれるあの緊迫感のあるイントロは息が詰まりそうになる。しかしそのM-1も今聴くとKid Aのような悪い後味は無いように感じるのだ。あの凄みが無い。M-2「Analyse」も、音がスカスカだからなのかポップに聴こえる瞬間すらある。そういう開けた側面は、この後リリースされることにる「イン・レインボウズ」とも共通するだろう。


ポップに聴こえるといえば一番そうなのはM-6「Atoms For Peace」か。この曲と同名のユニットを、トムヨークはレッチリのフリーと組んだが、あれはどうやら肉感的で踊れる感じになっているようで、音源出してくんないかなと思っているのだが…。
レディオヘッド自体、ヘイルトゥーザシーフ辺りから踊れるようなリズムの楽曲があるしトムヨークのやりたい方向の一つにそういう肉感的な音楽があるような気がする。そしてこのソロも、よく聴くとリズムが踊れなくもない、実は。俺はそう思った。


リリースされた当時はとにかく騒がれて、でも内容は暗くて全然よくわかんなかったアルバムだが、今聴くと全然普通に聴けた。


そして、こんなことも思い直した。
レディオヘッド(トムヨーク)はいつも革新的では無い。
「パブロ・ハニー」から「イン・レインボウズ」に至るまで、彼らは新しいことをしていない。オルタナ的なギターロックを、イギリスらしい湿ったロックを、ジェフ・バックリィを、ピンクフロイドを、電子音楽を、トリップホップを、ジャズを……自分たちの興味のある音楽の最良の形でかすめ取ったりつなげ合わせたりしてきた。ただそれが、その混ぜ具合や折衷の仕方が絶妙で個性的だった、ということなのだろう。(そして、沢山の他ジャンルを喰い荒らして、または折衷して自分の物にしてきたロックの歴史から見ると、その点でレディオヘッドは常に「ロック」的だったと言えるだろう)


もちろん彼等は歌詞を評価されている部分もあるから、そこは抜きで、だ。あとは、トムヨークのメロディーと声か。確かにジェフ・バックリーを意識した時期もあっただろうが、ここまで来るとトム・ヨーク節というしかない。そう、このソロ作も、歌が強い。声が前面に出てきて、主張して、聴き手にグイグイと掴みかかってくる。かつては加工し、バツバツに切ったり途切れさせたりしていた頃と、音の方向は近いのに、声に関しては正反対だ(そこがまた、このアルバムがかつてのレディオヘッドよりも開けた印象を加速させる)。


ジャンルとしては歌ものエレクトロニカ。それならば、他にもたくさん、そのジャンル内で素晴らしいミュージシャンは居るだろうし、全くもって彼らはパイオニアでも何でもない。完全な後追い野郎だ。それでも、トム・ヨークの声とメロディーが乗った瞬間、それは個性的で無二の音楽のように思える……。それがこの男の、そしてレディオヘッドの魅力の一つだろう。


ここまで書いておいてなんだが、俺はレディオヘッドに関してはOKコンピューターまでが好きだ。はっきり言って、今でもそうだ。リアルタイムで聴いていたわけではもちろん無い、しかしあそこまでのレディへは本当に格好いい。ギターバンドとして、冷たい空気をずっと放ち続けているそんな鋭い感覚を持った最高のロック・バンドだったんだろう。Kid A以降で一番好きなのは「ヘイル〜」なのは今も変わらないが、それでもたくさんリピートしているわけでは無い。
他のアルバムも、そして今このソロ作もフラットな気持ちで聴けるようになったが、自分の好みとしては未だそんな感じだ。



この間R.E.Mが解散を発表したが、僕は正直なところ、彼らの新作を追うよりも全盛期の名作認定されているアルバムを聴き込みたいなと思っていて、つまり段々キレは失ってきてたよね、なんてことを(ロクに聴きもせず)言ってたのだけど、そういうことは中堅〜ベテランのバンドなら皆そうかもしれないがレディオヘッドはどうだろう。今でも新作が出るたび大騒ぎするのは、彼らがスタイルをアルバムを出すたび変えてきたから「次の一手が気になる」という聴き手の心理が理由なのかもしれないが、やはり、ロック畑から電子音楽の世界へ切り込んでいき、そのバランスを独自のやり方で取ろうとしている、そんな姿にロックの最先端(こんな言葉使いたくないけど)を感じるリスナーやメディアが多いからなのだろう、か。(実際は先述の通り、音自体が革新的ではない)


しかし今年のアルバムはどうだったのか。さっき言った通り聴いてないから何とも言えないが、彼らももしかしたら第一のピークも第二のピークも、そしてキャリアを総括した完成度の高い熟練の作品すら作り終えてしまって、普通の中堅〜ベテランバンドのようになってしまうのか。「ああ、今度はそうきたね、ふーん」程度の、「あの頃の作品っぽいよね〜」程度で終わる作品をリリースするバンドになってしまうんだろうか。と、相変わらず迷走した文章で今日はこの辺で。








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