世界の終わり 『EARTH』(2010年)

画像


ディスるのを通り越してネタにしまくってるバンドですが、流石にちゃんと聴かないでイジるのもアレだな、と思い借りてきた次第です。


まぁ、聴く前から、僕らの世代で言うバンプのポジションといいますか、音楽版セカイ系・繊細な少年少女が奏でる繊細な少年少女へ送られたポップ・ロックていうことは分かってましたし、そういうバンドがウケる時代もそろそろ終わるのかなぁと思っていましたが、そうではないようで。聴いてみると、なるほどなかなか毒性は高い。


今までバンプ・チルドレン的繊細バンドはやはりなんだかんだギター・サウンドに拘ってきたし、その音こそ「ロック」である証左だと言ってきたと思うのですが、このバンドはまるで音楽室から聴こえてきそうな純白なピアノに、エレクトロとは言い切れないまでも、その辺のJ-POPよりは遥かに意識されたシンセや打ち込みを使ってきて、そしてそこに乗るのは甘ったるい声&メロディー。凄くセルアウト的というか、非常に聴きやすさが重視されており、下北系ギターバンド育ちの僕はそこでまず「???」なわけです。「繊細さ」を歌うバンドは僕にとってJ-POPへのオルタナティヴだったから、バンド・サウンドであることに意味があった。でもこのバンドは、打ち込みを除けば人畜無害なポップ・サウンドなのです。


そして歌われるのは、徹底的な人間への嫌悪。人間は他の生き物を殺して、自然を汚して、そして仲間であるはずの人間同士で争い傷つけあって、なんで僕たちは愚かな生物なのだろう。というようなメッセージが徹頭徹尾。
そんなことは分かっとるわ、それでも生きていかなきゃならんでしょ?と僕は思うし、M-5「世界平和」くらい徹底的に「人間は滅んだほうが地球にとって平和だ!」みたいな内容だと「じゃあもうお前から首吊れよ」とも悪態をつきたくなるけど、中高生がこれを聴いたらたしかにそうとう衝撃なのだろうということは想像に難くない。ただのガキの戯言であるが、ロックンロールなんて常にガキの戯言そのものだったわけで。
ただ、非常に説明臭い印象で、それは銀杏BOYZがかつて「僕らは飯食ってセックスするだけの人間様さ!」と歌ったレベルより低い気もする(なぜなら、それは開き直りではあるけれど、クソみたいな人間自体をその上で肯定していく、という宣言だから)。


とはいえ、このアルバム通して語られる人間自体への、社会自体への恨み節は、いったいコイツに何があったんだと思うほど徹底していると言っていい。そんな毒性のあるリリックとは対照的に、サウンドが人畜無害&ちょい打ち込みのノリのいいサウンドである、というミスマッチが、新世代ってことなのだろう。

つまり、こんな聴きやすくキャッチーでポップなのに「この世界ってこんなにクソなんですよ~」っという、まるで「満面の笑顔の殺人鬼」のような非常に(比較的良い意味で)薄ら寒くなる音楽であり、それはそれで新しいのかもしれない。そういうポップの面をかぶった毒性が受けているのだろうし、正直僕もそこまで否定するもんでもないな、という感じ。むしろ、あまりにJ-POPリスナーにも対応しきった歌メロに毒されそうで恐ろしい。「インスタントラジオ」は小林武史がプロデュースしたグリーンデイみたいな曲で割と好みだし、「俺は世界のことは本当は好きなのに、なぜ形あるものは壊れてしまうのか?」みたいなことを歌う「死の魔法」も、しつこいリリックではあるが言いたいことはわかる。
そして、残念ながら、依存系というか「繊細で潔癖なユースの悲しみの歌」みたいな音楽を比較的愛してきた僕にとっては、やはり頭ごなしに否定出来る音楽ではない。ART-SCHOOLや初期バンプなんかがリプリゼントしてきたことと、そこまで大差があるとは思えない、それの今の若い子向けってだけでしょう?セカイ系第一世代、みたいなもんですからねぇ僕。


よって、そんなに悪くないっす!がはは!すまんね。批判はいつでも受け付けてないぜ。ただ、やはりひとつ気になるのは、どれぐらい確信犯なんだろうなってこと。「ポップでキュートなセカオワメロディー」とか、ギャグなんだよね?こういう、「可愛らしいショートケーキで中身は猛毒だけど、食べる?」みたいな皮肉の塊なんだよね?なんとなくそこに無意識な、ガチの天然(悪い意味で)な感じもするんだよなぁ。つーかそれを確かめるために借りてきたのに、やっぱりそこはよくわからん。好意的に解釈しておくことにするが、それならばどう考えても次作が(リード曲を聴く限り)地雷な気がするな。



評価:7.6






ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック